いつからここで待っているのか、もう、忘れてしまった。
また、雨が降ってきた。
僕の名前は、ラグドール。
古い洋館の軒下で、待っている。
誰を?なにを? 僕の横を、たくさんの人が通り過ぎる。
大人、子供、女性、男性… みんなが、僕に声をかけたり、一瞥の視線を送ったりしながら、通り過ぎる。
「あれ?この女性…会ったことがある?」ふと、そんな気がした。
「あら?誰かを待っているの?」その女性(ひと)は、通り過ぎ、笑顔を向けて、洋館に入っていった。
それから、小(こ)1(1)時間(じかん)、雨の降る空を、ぼんやり見上げていた。
「僕は、何を待っているのだろう。いつから?」本当に長い時間、待っていた。
気の遠くなるような時間だった気がする。
「あら?まだ、待っていたの?風邪をひかないようにね。」彼女は、そう言った。
「僕は…そうだ、あなたを待っていたんだ。待って、待ってよ」僕は、彼女のあとを、一生懸命追いかけた。
彼女は、両手にたくさんの紙袋を持ち、僕には、気付いていない。
小雨の中、彼女の足元だけを見て、ついて行った。
駐車所に着いた。
そして… 「ついて来たの?」歌うような、優しい声で彼女は言った。
車の扉が開いた瞬間、僕は夢中で飛び乗った。
彼女は、とてもびっくりしたようだった。
そして、彼女は、運転席に座り、あちらこちらに、電話をかけ始めた。
僕は、思い出した。
彼女の瞳を見て、声を聴いて…彼女の膝に座って… 車が動き出した。
まだ、彼女は、気が付いていないんだなぁ。
僕たちは、前世からの恋人同士だって。
「一緒に行こうね」彼女は、歌うように言った。
「ニャ~♪」僕は、答えた。
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